月刊陸上トレーニング講座6−7月号

基本動作の動画はこちらから

[2.助走]

 前回のVoiceで「助走」の重要性が分かったと思います。「助走」で跳べるか跳べないかが決まるといっても過言ではありません。しかし、「助走」を完成させるにはまず@ポールを持ってきちんと走れること、それができるにはAポールを持たずにきちんと走れること、それができるには、B正しい姿勢で歩くことなど、自分が求めている技術の、一つ前の動きができていなければ、それにつなげることはできません。これを常に頭の中に入れて練習しましょう。歩き方、走りの基本は、他の講座(短距離など)を参考にしてください。ここでは、走練習、ポール走、助走について述べたいと思います。

(1)走練習:常にポールを持っている意識で、リラックスした走り。

練習方法 a.200m×2、150m×2、100m×2
b.20m加速+60m×5本×2セット
c.100m×10本(直線走→コーナーWalk)
d.コントロール走(助走のリズムで)80m×5本×2セット
e.ウェーブ走100m×5本

(2)ポール走:棒高跳は、全身の筋力を必要としています。その中で一番重要なのが、腹筋と背筋です。体を支えるためにも、この二つの筋力がなければ、ポールを持って走れません。鍛えましょう!

練習方法 a.ミニハードル(等間隔)10〜20台→ポール走20m×10本
b.ミニハードル(間隔を広げて)10台→ポール走20m×10本
c.50m×5本×4セット
d.80m×5本×3セット
e.100m×5本×2セット
f.50m(上り坂)×5本×2セット
いずれの練習も、量より質を重視して1本1本集中して!

(3)助走:出だしの1歩目が大切。反復練習で1歩目を自分のものにしよう。

練習方法 a.
b.

c.
(マークをBox代わりにして)助走5本×2セット以上
(実際の助走路で)助走5本×2セット(この時、助走だけでなくスタートからクリアするまで一つの流れをイメージして)
スタートから前半(12歩くらい)までの意識をして、後半はその流れでリラックスしての助走10本以上

助走は人それぞれ異なります。多くの選手の跳躍を見て試行錯誤し、自分のスタイルを見つけましょう。前半リラックス、後半駆け上がりが大切です。

[Point1]
いい加減に走るとその走りが癖になってしまい、改善するのに時間がかかります、一本一本、集中して!
[Point2]
ポール走では、特に左手の脇、右手の保持位置に気を付けましょう。調子が悪いときこそ、この二点を確認してみてください。

ポール保持について:いかにポールを軽く持つかがポイントです。
正面
a.× b.○
 左手の脇が開かないようにする(写真aが開いている、写真bが閉じている)。脇が開くと、肩に力が入り、力んでしまい、突っ込み動作が遅れやすくなる。
c.× d.○
 右手の位置は、右腰より極力後ろに下がらないように(写真c)。下がると突っ込み動作が遅れやすくなります。実際に跳躍をするとやや右腰より後ろに下がってしまいますが、できるだけ右腰の位置(写真d)を意識します。
 
Voice試合
テーマにそって小林史明選手、安田覚選手、近藤高代選手、澤野大地選手、そして私の5人の声を!
1.ズバリ、試合で勝つためには?
小林: 自分自身の力を信じること。試合の流れをつかむこと。
安田: 周りに左右されることなく練習で培ってきたことを100%発揮できるように冷静沈着な試合運びをする。
近藤: 自分のペースで試合が運べるように集中すること。周囲に気を取られないよう、自分の世界に入り、1本1本を大事にする。
澤野: 「その試合で勝ちたいという気持ちが一番強い人が勝つ。負けたなら自分よりその人の方が勝ちたい気持ちが強かった。」という気持ち。
鈴木: 今までやってきたこと、そして自分自身を信じて、試合を楽しむくらいの余裕を持つ。このことで、リラックスして力が発揮できる。
2.試合一週間前までの流れ(表1参照)
小林: 跳躍・助走をチェックし、その後は疲れを残さない。
安田: 試合がある週は練習量を極端に落とし、試合で最高のパフォーマンスを発揮できるようにする。(例えば、ポールを一切握らず試合当日にポールを握ることによって新鮮さを求める)
近藤: 試合のような跳躍練習を5日ほど前に行い、その後はしっかり休みスピード系の走りをしてピリッと仕上げ、試合に臨みます。
澤野: 1週間前からは一練一休で、主に疲れ取りとバネため、精神的パワー(やる気とか跳びたい気持ちとか、早く試合がしたくてしょうがなくなるようなモチベーション)の向上にあててます。
鈴木: 試合1週間くらい前に最終跳躍をし、助走のチェック、速い動きなどをして体に刺激を与え、早く跳びたいという気持ちを作っていく。
3.雨の試合で注意していることやポイントなど
小林: マットに落ちたあとの対処(身体を冷やさない)。
安田: グリップが滑るので滑らないように注意する。
近藤: グリップが滑るので滑らないように注意する。
澤野: 晴れていても雨の準備をする。雨が降ったとき大変なのは、体が冷えてしまうこと。そこで冷やさないためにも、着替え、ウォーマーホットクリームなどは少々荷物になっても持っていく。
鈴木: 体が冷えることも考慮し、できるだけ少ない試技で勝負する。
4.横風、向かい風など、風がまわっているとき
小林: 雲の動き方をみたり、グランドの風の流れを見て、「風を読む!」
安田: 日々の練習でいろいろな風の状況を想定してポール走など助走練習をする。そうすれば、風に左右されることなく試合ができる。
近藤: ポールの構えを低くしたり、スタート時の出る場所を少し変えます。
澤野: 多少の風は気にしなければ大丈夫。海外の試合に出たら風が悪いのは当たり前で、その中でみんな当たり前のように戦っている。あとは冷静に風を読む。悪くても腹をくくって、力まずスタートする。
鈴木: 風が強いとポールがあおられたりして助走が狂うと考えがちですが、実際は、風を気にしすぎて力んでしまい、その影響で助走が狂うので、できるだけリラックスしていつものリズムで助走をしましょう。
[ワンポイント!記録が出るはずの追い風で]
 
うまく追い風を利用すれば、助走スピードが上昇し、硬いポールが使え記録が出るはず。しかし、風に頼りすぎて、助走の前半がピークとなり、後半バテて、スピードが落ち踏み切ってしまう場面が多く見られます。追い風を利用するには、助走の前半をできるだけリラックスしてセーブし、後半スピードに乗れるようにしましょう。つまり、追い風のときは、前半我慢、後半リラックス!これで記録が狙えます!

表1:試合一週間前の練習メニュー例

 曜日
・日曜日が試合と想定して
・助走:何本もダラダラやらず集中して
・Dash:20、30、50m各2〜3本くらい
・走:120m×5本など、スピードより質
・基本:ポールワークなど再確認
・Rest:体を休めましょう
例1
跳躍
助走
Rest
助走
Dash
Rest
基本
試合
例2
助走
跳躍
Rest
助走
基本
Rest
試合
例3
跳躍
基本
助走
Rest
Dash
Rest
基本
試合
これはひとつの例として参考にしてください。実際、試合1週間前の練習メニューは個人個人違います。いろいろ試して、自分にあったメニューを見つけてください。